「無理をしないで」は禁物

  冒頭に書いたとおり、今回のコラムでは「がんばる状態」についてスポットを当てる。

「がんばる状態」は「意識的有能」状態を指す。
  つまり、意識すればできるが、無意識のときは行動できないという状態だ。
  意識しないとできないので、とてもストレスがかかる状況にある。
  このときに、多くの人が脱落していく。
  目標を達成しよう!新しいことをチャレンジしよう!と、どんなに意気込んでも、慣れないことを続けるにはストレスがかかる。
  ストレスがかかると、行動を続けない言い訳――つまり「思考ノイズ」が再び頭の中を飛び交い始めてしまう。
  しかし、ここはあえて「無理」をすべきだ。
  少々キツイと思えば、自分が成長しているという実感を持つのである。

  意識してもできない状態を「わかっちゃいるけど状態」と言う。
  しかし、「がんばる状態」になっているということは、すでにこのステージは越えている。意識すればできる状態になっているのだから、背中をドン! と押してやればいいのだ。

  それを繰り返していくことによって、思考は「あたりまえ化」していく。
  つまり無意識のうちにできる状態に自分が変容していくということだ。

高速道路直前では、一気に加速せよ

  最近、溶けたソフトクリームのように、生ぬるくて甘ったるい言葉が多すぎる。
  相手の状態を正しく理解せず、つらそうにしている人に、
「そんなに無理をしなくてもいいんじゃないか」
「君は君らしくいればいいんだよ」
「がむしゃらにやってもいいことなんてないさ」
  などと杓子定規に声をかける人が多いが、今日からやめたほうがいい。

  現時点で「無理だ」と思うことをやりきるから、将来に「自信」をつけることができるのである。
  心の病気になっている人が相手ならともかく、ちょっとくらいキツそうにしているだけなら「がんばる」のだ。がんばらなくていい理由など、どこにもない。

「あたりまえ状態」は、高速道路に乗っているところだ。
  しかし、「がんばる状態」のときは、高速道路に乗る直前。
  だから加速すべきだ。
  アクセルを踏むのだ。
  ストレスがかかるのはわかっている。だからといって、一度加速したのに怖くなって、アクセルから足を離したらどうなるのか?後続の車も迷惑だ。
  ここは一気に加速しよう。
  がんばり続けるのは大変だろう。ストレスもたまる。しかしそれは「あたりまえ化」するまでの期間だけ。

  筋トレと同じである。
  ストレスをかけないようなトレーニングをしても、筋肉は成長しない。
「ちょっとキツイな……」という状態にまで自分を追い込み、もう少しだけふんばってみる!そうすることで、次からさらに限界点を超えるようなトレーニングができる。