どのセンターも、午前8時から午後8時までの12時間、土、日、祝日も運営する。期間は3カ月間、対象は65歳以上の高齢者で、東京センターの場合、東京都以外の首都圏の一部、大阪センターの場合、大阪府以外の関西圏の一部の地域在住者も受け付ける予定である。1日1万人、3カ月間で90万人に接種する計画だ。設置および運営は、すべて自衛隊で行う。

 筆者は、前回の記事で「集団接種に限定すべきだ」と提案したが、そういう意味では、大規模接種も大型の集団接種なので、ある程度は効果的だと思うが、大きく四つの不安要素がある。

 第1の不安要素は、ワクチンをファイザー社製からモデルナ社製にしたことの弊害が起きるのではないかということだ。

 弊害の一つは、接種間隔が長くなることだ。いずれも2回接種しなければならないが、ファイザーは3週間後、モデルナは4週間後なので、接種終了がモデルナは1週間遅れることになる。1週間程度は問題ないと言えばその通りだが、後述する通り、3カ月間という短期間の大規模センターでは影響が出てくる。

 もう一つの弊害は、ワクチンは同じものを2度接種しなければならないので、1回目を大規模センターで接種した人は、2回目も必ず大規模センターで接種しなければならないことだ。

 1回目でモデルナ社製ワクチンを接種した人の場合、ファイザー社製ワクチンを使用している市町村が開設している集団接種会場や地元の診療所で2回目の接種を受けることはできない。そして、大規模センターで3カ月間に2回目を接種できなかった人は、別途指定場所に出向いて接種をするなどの負担がかかる。

3カ月90万人の
計画は達成困難

 第2の不安要素は、「1日1万人、3カ月間で90万人」という接種計画だ。

 そもそも「3カ月で90万人」ではなく、正しくは「3カ月で90万回」である。

 集団接種や大規模接種で、一番わかりやすい方法は、1回目の接種後の4週間(モデルナ社製ワクチンの場合。ファイザー社製は3週間)目に、2回目の摂取を行うことだ。