中国の鉄鋼供給と政治問題を巡る懸念を背景に、鉄鉱石価格が最高値を更新したが、それは長くは続かないかもしれない。中国の大連商品取引所で10日、鉄鉱石の先物価格が値幅制限いっぱいの10%高をつけ、過去最高値を記録した。背景にあるのは商品(コモディティー)市場の活況だ。銅価格も最高値をつけたが、これは再生可能エネルギーや電気自動車(EV)への移行で銅が恩恵を受けるとみられるためだ。ゴールドマン・サックスのアナリストは先月、銅を「新しい石油」と呼んだ。今回は供給懸念が鉄鉱石の上昇に拍車をかけたようだ。中国は6日、オーストラリアとの戦略経済対話を無期限に停止すると発表。両国の関係悪化には終わりが見えていないことがうかがえる。オーストラリアは群を抜く世界最大の鉄鉱石生産国だが、他方の中国は世界最大の鉄鋼消費国だ。中国は先週さらに、「分別のない投資」を防ぐため、国内製鋼所の生産量を抑制する措置を強化した。これにより、制限が始まる前に鉄鉱石と鉄鋼の在庫積み上げが進むとの思惑が広がっている。
鉄鉱石の最高値更新、見かけ倒しか
中豪の関係悪化による需給の不均衡は長期的には続かない公算
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