期限を2つ折りにして、2倍速で仕事を片づける

「倍速管理」をひと言で書くと、期限を2つ折りにして、2倍速で仕事を片づけるやり方だ。
  仕事には必ず「期限」と「ノルマ」がある。その期限を半分にするのだ。
  そうすることで、理論上、仕事は「絶対達成」する。

  たとえば今日が火曜日だとして、上司から「来週木曜日までに資料をつくってくれ」と言われたら、多くの人の頭にインプットされる期限のデータは「来週木曜日」であって、火曜日から来週木曜日までの実質的な期間ではない。

「期限」のデータとして「来週木曜日」しか頭に入らないと、多くの場合は「来週の木曜日までにやればいい」という発想になってしまいがちだ。

「来週の木曜日までにやればいい」と考えると、ついついその期限前日の水曜日にその作業をしても間に合うかもしれない。ひょっとしたら当日に始めてもいいかもしれないと思い込んでしまうものである。

  しかし、仕事は「絶対達成」だ。「うまくいったら達成するかもしれない」などという「たら・れば」の発想ではダメだ。

  仕事を先送りするリスクは2つある。
  1つは依頼内容を忘れることだ。「ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線」によると、人間は、20分後には42%、1時間後には56%、1日後には74%、1週間後には77%のことを忘れる。
  つまり時間の経過とともに、上司の指示、自分のやるべきことを忘れるのだ。
  2つ目は、時間の経過とともに「面倒だ」という感覚は増幅すること。
  コラム第2回で触れた「思考ノイズ」が次々に発生し、前述のとおり内容も忘れていく。内容をあまり覚えていないことを、面倒くささが増幅した状態で作業するので、時間は長くかかり、仕事のクオリティは著しく低下する。

  私のクライアントである、飲食店店長Kさん(32)も、期限ギリギリにならないと行動しないタイプの方だった。女性らしく周囲に気を配る、気持ちのいい態度がウケて、お店は繁盛していた。

  しかし、店舗経営に関しては、別だった。
  お客様は来店してくれるが、客単価が低いこと、回転率が悪いことで、年初に立てた目標をなかなかクリアできない。
  オーナーと一緒にアクションプランをつくるのだが、いつも返事だけはよく、「やります」「すぐできます」と宣言はする。
  しかし時間が経つと、「そもそも、どうしてこれをやらなくちゃいけないんでしたっけ?」と言い始める。
  新メニューの開発、チラシやポップづくり、ビラ配り、店舗外装の手入れ、アルバイトのマナー教育……など、やるべきことは山積しているのに、目の前の仕事に忙殺されていて、すべて手つかずのままだった。