NHK「おはよう日本」でも取り上げられ、
新入社員のバイブルとして読みつがれている
『入社1年目の教科書』。
コロナ禍で売上が2.5倍となり※1、
50万人以上のビジネスパーソンに読まれ、
『入社1年目の教科書 ワークブック』とともに
多数の企業で新人研修のテキストとして採用されている。
発売10年で『入社1年目の教科書』の読者層が広がり、
最近では60代も増えている。
なぜ今、「新入社員向けの仕事の基本書」が
幅広い世代で読まれているのだろうか。
『入社1年目の教科書』の著者の岩瀬大輔さんの
コメントとともにお伝えする。
(まとめ/ダイヤモンド社書籍編集局・和田史子)

※1:数字はダイヤモンド社調べ。売上150店舗データ、
2019/3/31~4/6と2020/3/29/4/4のデータ比

入社1年目の教科書と入社1年目の教科書 ワークブックが全世代に読まれている理由とはPhoto: Adobe Stock

ここ数年で増えた
61歳、65歳『入社1年目の教科書』読者

発売10年のロングセラー『入社1年目の教科書』だが、この10年で読者の傾向に変化が見られる。
発売当初のメイン読者は
・新入社員(22、23歳)
・入社10年目の上司・先輩(33歳前後)

だった。10年目の人たちは後輩指導の参考に買ったという人が多い。

しかし時がたつにつれ、年齢層は広がりを見せ、今では以下のような読者も。
・10代読者(高校や専門学校を卒業して就職)
・10代読者(キャリアデザイン学部等で大学のテキストとして)
・20代前半~半ば読者(メンター、トレーナー役)
・20~40代読者(転職1年目、転籍や出向などの1年目)
・50代読者(自分の子どもに就職祝いとして購入)
・70代以上(経営者。自社の社員への内定お祝いとして)

なかでも特徴的なのは61歳、65歳読者だ。
購入目的の多くが「再雇用(ないしは再就職)1年生なので」という理由である。

その多くは
「今の時代の『仕事の基本』を確認するために読んだ」というもの。

「新しい職場で心機一転、フレッシュな気持ちで本を手に取った
といったモチベーションアップのために読んだという人も。

なかには
「今まで自分がやってきたことの『答え合わせ』がしたくて買った」
という人もいるが、急速な時代の変化に対応するため、
イチから学び直そうと思ったという人が目立つ。

再雇用・再就職1年生の声は
「仕事で大切なことは、自分たちが新入社員のときと変わらないと知り安心した」
というものが圧倒的だ。
ただ、
『知っている』と『やっている』は別の話。正直、耳が痛い」とか
『朝のあいさつはハキハキせよ』はできていなかった。再就職先ではちゃんと実践しようと思う」
といったように、行動できているかという視点で発見や反省があったという。

時代が変わっても、原理原則は同じ

著者の岩瀬大輔氏は
「時代が変わっても、仕事における原理原則は同じ」であると話す。

たとえば、急な連絡は電話がいいのか、それともLINEやメッセンジャーなどネットがいいのか。
これはあくまで「手段」の話にすぎない。

「重要なのは『上司など、相手があなたからの連絡を確実かつ即時チェックできるような手段を選ぶ』ことです。たとえば上司は午前は会議で電話に出られないのでメッセンジャーツールのほうが確実であればそのほうがいいですし、直接携帯電話にかけてほしいという人であればそのほうがいいでしょう。リモートワークになって連絡手段がネットのほうが早いというケースも増えていますので、『急ぎでご確認いただきたい場合、どのように連絡するのがよいですか?』と、事前に確認しておくと安心です」
(岩瀬氏)

実は「全世代」が
今『入社1年目の教科書』に注目する理由

コロナ禍で『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』の売上は急増した。
一番の理由は、新入社員の研修テキストとして採用する企業が増えたことだ。

特に2020年は初めての緊急事態宣言の発令で、突如、新入社員を出社させることができなくなった企業も多い。そこで、自宅でも学習できる書籍へのニーズが高まったのだ。

だが、実は他の理由で、『入社1年目の教科書』を全社員に配る企業も出てきている。
コロナ禍だからこそ、全従業員に必要とされる「あるもの」を共有するためだ。