まひ患者が脳に埋めたチップで意思伝達する最新技術、驚きの速度とはPhoto:PIXTA

 脳内に埋め込んだマイクロチップを通して、首から下がほとんど動かせない麻痺患者が文字入力により意思を伝達することができたとする研究成果が、米スタンフォード大学脳神経外科教授のJaimie Henderson氏らにより、「Nature」5月12日号に発表された。そのスピードは、健常者のスマートフォン(スマホ)での文字入力に近いものであったという。専門家らは、脳とコンピューターをつなぐブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)技術の開発における最新の成果だと評価している。

 以前から、傷害や疾患により体を動かしたり話したりする能力が失われた患者が、できるだけ自立した日常生活を送れるようになることを目指し、BCI技術の研究が重ねられてきた。BCIの基本的な仕組みはこうだ。まず、運動に関わる脳の領域に小さなチップを埋め込む。チップを埋め込まれた人が何らかの動作をしようと考えると、対応する脳細胞から電気信号が発生し、それをチップが捉える。捉えられた信号はワイヤーを介してコンピューターに伝達され、高度なアルゴリズムによって解読される。それが動作に変換され、患者が意図した通りに補助デバイスをコントロールすることが可能になる。過去の研究では、BCI技術により、意図した通りにロボット義肢を動かしたり、コンピューターのカーソルを動かして文字を打ったりしたことが報告されている。