取材する側も取材される側も障がい当事者がメイン

「Co-Co Life☆女子部」を発行し、無料配布するにあたって、「編集部」による制作体制はどうなっているのだろう?  NPO施無畏の副理事長で、「Co-Co Life☆女子部」編集部のエディター・ユニバーサルデザインコーディネーターを務める守山菜穂子さんに現在の状況を聞く。

守山 取材対象者となる読者モデルやインフルエンサーは、基本的に障がい・難病の当事者*3 です。そして、取材する側のライターも、障がい・難病の当事者で、「発信したい」という思いがある人たち。執筆実績がなくても、書きたい・取材したい思いがある人を発掘し、育成しています。一方、雑誌づくりに関わるフォトグラファー・デザイナー・レタッチャー・編集者、組織運営者などは、おおむね、実績のあるプロの方々にボランティアか薄謝でご協力いただいています。プロたちは、自身に持病があるとか、家族に障がいの人がいるとか、あとは社会貢献の意識が高い方、発行意図に共感してくれる人などです。

*3 障害者手帳の取得有無は問わず、グレーゾーンを含む。記事監修の有識者などは障がい当事者とは限らない。

 オンライン(ネット記事)での発信とは異なり、紙媒体(フリーペーパー)の発行には印刷・製本といった制作過程もあり、遠藤さんが危惧するような、多くのコスト(金銭と時間)がかかっていく…。

守山  媒体発行のスポンサーや、担当の印刷会社は、障がい者の社会進出を応援している企業・団体です。編集費用、雑誌配送の費用など、さまざまな面でご支援をいただいています。

「Co-Co Life☆女子部」の誌面は、とても丁寧に手間暇かけてつくられていることが読者目線から分かり、障がい当事者である読者にとことん寄り添う姿勢がうかがい知れる。媒体には確かな編集方針があるようだ。

守山 まず、読者に対して、「家に引きこもっていないで、出かけよう!」というメッセージを伝えるために、「出かけたくなる情報」を掲載しています。障がい当事者が気軽に出かけることのできる場所が、ハード(設備)・ソフト(サービス&人)の両面において、日本にはたくさんあるので、それをまず情報として提供したいですね…と、これが、コロナ禍前の基本的なスタンスだったのですが、コロナ禍においては、室内やオンラインでできることの記事も増やしました。実例としては、「身体の可動域が限られている人でも、自分でできるストレッチ」ですとか、障害年金などを含めた「お金」の特集。また、自宅で落ち着いて楽しむことのできる「障がい・難病を扱ったマンガ」「障がい・難病のYouTuber・インフルエンサー」の特集などです。覆面トークで当事者界隈の話題を斬る「座談会」も、オンラインでのやりとりをもとにつくっています。

歴代の「Co-Co Life☆女子部」の表紙。歴代の「Co-Co Life☆女子部」の表紙。「福祉」のイメージではなく、明るく元気な、ファッション情報誌としてのつくりを心がけているそう。 ストーマ袋(人工肛門)、車いす、ヘルプマーク、杖など、同誌らしい装具や小物も自然に登場している
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