稼いでいる会社は多くの人に役立っている

 Aさんは自分でつくった鍬(くわ)で畑を耕していた。

 あるとき、隣の畑を耕すBさんを見て驚いた。Bさんの鍬は特別仕様でつくられていて、同じ時間で2倍の仕事がこなせる。

 Aさんは、

「ぜひその鍬と同じものをつくってくれ」

 と頼んだ。Bさんは、

「いいけど、あなたの鍬をつくっていると、私が作物をつくる時間がなくなる。鍬をつくる時間分に相当する作物を分けてくれたら引き受けるよ」

 と言った。こうして物々交換が誕生した(本書図表7)。

なぜ事業は年商100億以上を目指すべきなのか?お金の本質を知ればそれが見えてくる図表7

 やがてBさんの鍬は評判になった。

 あるときCさん、Dさん、Eさんが作物を持ってBさんの家にやってきた。

「Bさん、この作物をあげるから、私たちにも特別仕様の鍬をつくってくれないか」

 Bさんは困った。

 たくさんの作物をもらっても、食べる前にいたんでしまう。

 するとCさんが、

「それなら好きなときに私の作物と交換できる券をつくろう」

 と兌換(だかん)券を渡した。

 こうして通貨が誕生した(現実には金が価値を保証する金兌換券だが)。

 兌換券1枚=特別仕様の鍬=鍬をつくる時間に相当する農作物

 3つが同じ価値になった。

 本書図表8のとおり、モノやサービスの価値を置き換えたものがお金だ(ここでは兌換券)。

なぜ事業は年商100億以上を目指すべきなのか?お金の本質を知ればそれが見えてくる図表8

 お金は人の役に立つともらえる。

 価値とは、どれだけ他者の役に立つかということだ。

 役に立つかどうか、価値があるかどうかは、お金を渡す側が決める。

「自分は相手の役に立っている」「一所懸命に働いている」と思っても、相手がそう思わなければお金を支払ってはくれない。

 私があなたに唐突に「1万円ください」と言ったら断るだろう。

 では、どんなケースなら1万円を私に渡すだろうか。

 それは1万円分、あなたの役に立ったときだ。

 つまり、金額分、相手の役に立たないとお金は絶対にもらえない。

 Bさんは特別仕様の鍬をたくさんつくり、たくさんのお金をもらった。

 人に役立つ度合がお金の量で、Bさんの社会への貢献度ということになる(本書図表9)。

なぜ事業は年商100億以上を目指すべきなのか?お金の本質を知ればそれが見えてくる図表9

 では、毎日の仕事ではどうか。

 様々な価値のある商品・サービスを提供する。

 それに見合った対価をもらっている。つまり、稼いでいる会社は多くの人の役に立っている(本書図表10)。

なぜ事業は年商100億以上を目指すべきなのか?お金の本質を知ればそれが見えてくる図表10

 会社がどれくらい世の中に役立っているかを示す指標として、次のように言われることがある。

 あってもなくてもいい会社(たまたま目に入ったから買っただけ)→年商5億円以下
 あると便利な会社→年商10億円以上
 なくなると困る会社→年商100億円以上

 だから多くの起業家は100億円以上の会社になることを目指すのだ。

 次回はこの話の続きをしながら「そもそも利益とは何か」を解説しよう。