時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか? 会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっている――。
前著『戦略参謀の仕事』で経営トップへの登竜門として参謀役になることを説いた事業再生請負人が、初めて経営トップに向けて書いた骨太の経営論『経営トップの仕事』がダイヤモンド社から発売。好評につき発売6日で大増刷が決定! 日本経済新聞の書評欄(3月27日付)でも紹介され大反響! 本連載では、同書の中から抜粋して、そのエッセンスをわかりやすくお届けします。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ。
ITシステム構築の現実的な第一歩は、どうあるべきか
以前、ある百貨店で展開している婦人服ブランドのシステム開発の責任者とお目にかかりました。この方は、元営業出身で腕利きのエリアマネジャーだった方です。
こちらの会社では、担当エリア内での、アイテムごとの発注数量の決定と店への在庫の最適配分はエリアマネジャーが行います。まさに彼らが、売上を最大にする発注を考え、在庫の売り切り、換金の責任者です。
つまり、この事業における肝となる業務を最適化するために、何をしなければならないのかを社内で最もよく理解している人材を、社長が選んだのです。
もちろん、彼はシステムについては素人ですが、何が必要か、何が出来なければ事業が競争力、事業力の強化につながらないのかを、SEに対しても、社長に対しても、明確に説明できる方です。
こういう人材をシステム化推進部門の責任者に選ぶのは、最初のステップとして、とても正しいと思います。