肩書だけの情報システム部長
一方、ある、兆円規模のメーカーの事例です。
営業部門出身の本社の情報システム部長ですが、営業の実務は今イチで、人望もなく、ややこしいからと実質的には厄介払いされた人材です。怒鳴り声と頑固さだけは一人前で、いったん言い出したら、絶対に自身の意見を変えることはしません。
事業部のシステム推進担当に対しては高圧的ですが、ベンダーにとってはやりやすい人物で、接待を受けてちやほやされ、結局はベンダーの営業からの提案に言いなりの状態になりました。
この会社の規定では、ある金額を超えた情報システム導入の稟議書には、情報システム部長の承認印が必要になりますが、事業部側がイニシアティブをとったシステム開発・導入については、基本的に聞く耳を持ちません。
ただ、この会社には、少数ですが事業部側に現場を熟知した優秀なシステム化の推進担当がいました。その当時の社長がことの筋論を聞いて正しく判断する方でしたので、大きな問題は未然に食い止めることができました。
しかし、いかんせん、事業部サイドはこの情報システム部長の対策を常に考えなければならない状況でした。