なぜ安田学園はランクインしているのか

 ここからは男子校の残り3校を続けて見ていこう。上位3校と比べると募集人員がいずれも少なく、1日の1回だけ入試が行われる。

 6位駒場東邦も、じわじわとランクアップしてきた。東急沿線など神奈川方面からの受験生も多く、2位麻布と競合関係にある。東大合格実績の伸長もあって、2022年も人気を集めそうだ。募集人員は240人である。

 8位武蔵は東京御三家の一つだが、こうしたランキングでは一歩控えめな位置に出てくることが多い。最大の理由は募集人員が160人と開成や麻布の約半分しかないからだ。仮に募集人員を300人として計算すると1076人となり、開成を超えてしまう。つまり、人気という点ではなんら遜色はない。

 唯一、神奈川からは慶應義塾普通部が入った。大学の日吉キャンパスとは、東急線を挟んで反対側にある。慶應義塾にとっては大学と並ぶ源流が本校であり、伝統という点では申し分ない。2021年はランクを落としたが、例年は6位あたりが定位置だったので、2022年にどのようになるか注目される。募集人員は幼稚舎からの内部進学者数により変動があるが、約180人となっている。

 最後に、唯一の共学校である5位安田学園である。墨田川以東の両国にあり、創立者は安田財閥の祖、安田善次郎である。男子商業学校の歴史が長かったが、2010年から女子も受け入れて共学化、先進と総合という2つのコース制を導入した。この4年間、2ページの図にあるようにベスト10入りしている。

 中学での募集人員約180人の安田学園が、なぜここに入っているのか。ランクインしている他校が1回もしくは2回の入試のみとなっているのに対して、こちらは総合コースの一般入試が1日と2日午前の2回、先進コースの先進特待入試が1日午前から4日午前まで計6回行われている。

 先進特待入試のうち、1日・2日・4日の午前に行われている公立一貫校型(募集人員は合計約60人)が、特に周辺公立中高一貫校の志願者に人気で、多くの受験生を集めている。つまり複数の入試の合わせ技でベスト10入りをしている唯一の学校でもあるわけだ。

 ここ数年、1日と2日を中心に午後入試が各校で人気となっているが、3日に行われる公立中高一貫校に合わせた適性検査型入試も中堅・中位校を中心に多くの受験生を集めるヒット作となっている。

 2022年2月1日、受験生は東京・神奈川のどの学校に多く集まっているのだろうか。