東京五輪の開幕直前で、選手村に入村していたサッカーのU-24南アフリカ代表から複数の新型コロナウイルス感染者が出た。濃厚接触者と確認された選手・スタッフは実に21人にのぼり、22日に東京スタジアムで行われるU-24日本代表とのグループリーグ初戦へ向けてさまざまな波紋が広がっている。(ノンフィクションライター 藤江直人)
選手ら3人感染、2人は高熱が
濃厚接触者は選手村で自主隔離
指摘され続けてきた懸念が、東京五輪の開幕を直前に控えた段階で現実のものになりつつある。東京・中央区晴海の選手村内に滞在していた、南アフリカの選手およびスタッフから合計で3人の新型コロナウイルス感染者が判明したからだ。
いずれも男子サッカーに出場し、22日のグループリーグ初戦(東京スタジアム)でU-24日本代表と対戦するU-24代表チームに所属。17日に映像分析スタッフが、18日には中盤と最終ラインの選手がそれぞれPCR検査で陽性と判定された。選手2人は高熱を発していて、スタッフとともに村外の専用ホテルですでに隔離されている。
さらに東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は19日、3人の濃厚接触者が同チーム内で21人にのぼったと発表した。選手とスタッフの具体的な内訳は明らかにされていないものの、21人のほとんどが選手とされていて、全員が選手村内のシングルの自室で隔離に入った。食事や水は組織委員会のスタッフが各部屋へ運んでいる。
U-24南アフリカ代表は、国内での事前キャンプを終えた後の14日に来日し、大会組織委員会が定めたガイドラインに則って選手村に入村していた。ただ、当初は21人の選手が招集されたなかで、出国前に5人がチームを離脱するアクシデントに見舞われている。詳細は明らかにされていないが、「医療上の理由」とされている。
代わりに追加招集できた選手も、3人にとどまった。東京五輪のサッカー競技は、コロナ禍を考慮して、登録人数を従来の18人から22人に拡大。その中から試合ごとに18人をベンチ入りさせる形に急きょ変更されたが、南アフリカは選手19人の小所帯で来日し、さらに陽性判定が出た2人は規定により大会には出場できない。