中高一貫校には大きく分けて3種類ある

 中高一貫校には、「中等教育学校」「併設型」「連携型」の3種類がある。

 中等教育学校は最初の3年間を前期課程、そのあとの3年間を後期課程とし、6年間の一貫教育を展開している。後期課程からの入学者は募集していない。

 併設型は中高を接続した学校形態だ。高校からの入学が可能な学校もあるが、私立・公立ともに高校募集をやめる学校が増えている。「6年一貫のほうが教育の理念を遂行しやすいという学校側の思いがあると思います」(藤田さん)

 連携型は公立に多い。たとえば場所が近い中学校と高校がカリキュラムの編成、教員や生徒間の交流などで連携を図る。高校受験は必須となっているが、連携型中学校からは、調査書や学力検査以外の資料によって高校入学者を選抜できることになっている。

6年間で、私立の学校教育費は公立の約4倍かかる

「公立のメリットは何と言っても、私立と比べ学費が安いこと。家庭の経済状況に関係なく教育を受けられる場を設けるのは公立の役目だと思います」

 そう話すのは、都立小石川中等教育学校と成城中学校・高等学校(東京)、公立と私立で校長を務めた経験を持つ栗原卯田子さんだ。20年度から「私立高校授業料実質無償化」が始まったが、公私間の学費の差は依然、大きいという。

 文科省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、公立と私立の学校教育費の違いは明らかだ。中高とも公立に通った際の6年間の総額は、私立中学3年間の半額以下。月平均で約1万7500円だ。

「平成30年度子供の学習費調査」(文部科学省)。学校教育費の内訳は、授業料、修学旅行・遠足・見学費、学校納付金等、図書・学用品・実習材料費等、教科外活動費、通学関係費、その他「平成30年度子供の学習費調査」(文部科学省)。学校教育費の内訳は、授業料、修学旅行・遠足・見学費、学校納付金等、図書・学用品・実習材料費等、教科外活動費、通学関係費、その他 拡大画像表示

私立と公立の受験勉強は全くの別物

成城中学校・高等学校前校長の栗原卯田子さん成城中学校・高等学校前校長の栗原卯田子さん(写真/高橋奈緒・写真部)

 私立の入試問題は小学校の学習範囲を超えており、大人でも苦戦する難題も少なくない。一方、公立の「適性検査」は小学校で学んだ内容を軸に、思考力や表現力を問う。私立の多くが国語、算数、理科、社会の4科目受験を基本とするのに対し、公立の適性検査は教科横断型の側面を持つ。「適性検査は読解力や分析力などが求められるテストです」(栗原さん)

 当然、受験勉強の内容や方法も異なるため、志望校選びにも影響してくる。「公立が第1志望なら、4科目の私立受験は現実的ではありません。適性検査型入試や思考力型入試など、公立と同様の試験を採用している私立を併願受験するのが妥当です」(藤田さん)