歴史観に基づく長編の論説文を執筆するという行為は、国家元首よりもシンクタンク系の人々にふさわしいものだ。しかしロシアのウラジーミル・プーチン大統領は従来のような国家元首ではない。プーチン氏は先週、5000語以上の論文を公表。その中で、過去1000年を振り返り、ロシアとベラルーシ、ウクライナの人々は歴史や信条、運命を共有してきたと結論付けている。プーチン氏の見方によれば、西側の大国は何世紀にもわたってロシアとベラルーシ、ウクライナの分断を試みてきたが、それは失敗する運命にあるという。「反ロシアの取り組みは何百万人もの(クリミア、ドンバス地方などの)ウクライナ人によって拒否されてきた」と主張している。プーチン大統領は、何世紀もの間ロシアとともに開発・貿易を進めてきたウクライナ経済は、ロシアとの密接な連携なしには決して繁栄できないと信じており、時折西側の会計係から援助を受けたとしても、ウクライナはロシアの存在がなければ苦難に陥る、と記している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前でさえも、ウクライナの国民1人当たりの国内総生産(GDP)は、4000ドル(約44万円)以下だった。プーチン氏の論文によれば、これは「アルバニア共和国、モルドバ共和国、国として未承認のコソボよりも少ない」という(ロシア政府はコソボのセルビアからの独立を承認していない)。プーチン氏は「今やウクライナは欧州の最貧国だ」と述べている。