今さら「武器以上の何か」に言及の高倉監督
レジェンド澤穂希が心を鬼にして猛批判

 佐々木則夫前監督に率いられたなでしこが、女子ワールドカップを制したのがちょうど10年前。翌年のロンドン五輪で銀メダルを獲得し、2015年の女子W杯でも準優勝したなでしこは世界に衝撃を与え、同時に抜本的な強化へ本腰を入れさせた。

 体格やフィジカル面でどうしても劣る部分を、なでしこは組織力とコンビネーションで補うスタイルで強豪の仲間入りを果たした。しかし、いまや世界はフィジカル的な優位性を保ったまま、なでしこと同等以上の組織力を融合させている。

 ベスト16でオランダに屈した2年前の女子W杯で、世界の潮流を痛感させられた。就任から十分な時間があったにもかかわらず、東京五輪後に「自分たちの武器以上の何か――」と言及した高倉監督は、残念ながら不適格と言わざるをえない。

 東京五輪を通じて、元なでしこによる厳しい指摘がメディアをにぎわしている。なかでも耳目を集めたのが、レジェンド澤穂希さんの忌憚(きたん)のない言葉の数々だ。

 各試合後にスポーツ紙によるリモート取材に応じた、2011年女子ワールドカップの得点王にしてMVPは「泥臭さやがむしゃら感が物足りない」と看破し、あるときには「懸けるものが伝わってこない」とあえて心を鬼にして斬り捨てている。

 スウェーデン戦後には「悔しいけどこれが現実」と、澤さんはなでしこの現在地を指摘している。東京五輪での戦いぶりを嘆くファン、サポーターの共感を呼ぶとともに、待望論が高まってきている。澤さんが次期監督になって再建してほしい、と。

 澤さんは、37歳だった2015年限りで現役に別れを告げた。出場数が「205」を数えた国際Aマッチで、釜本邦茂氏の「75」を超えて日本サッカー史上で最多となる「83」ものゴールをマークしている澤さんには、引退直後から監督への待望論があった。