AI半導体 エヌビディアvsトヨタ 頂上決戦#3Photo:Justin Sullivan/gettyimages

データセンターのサーバーで使うAI(人工知能)半導体で米エヌビディアのGPU(画像処理半導体)のシェアは9割を超え、圧倒的な強さを見せている。これに対抗して、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と米インテルの半導体メーカーの競合2社がAIサーバー用のGPUを投入した。同時に、マイクロソフト、グーグル、アマゾン ウェブ サービス(AWS)ら米巨大テック企業は、自ら独自の半導体を開発している。特集『AI半導体 エヌビディアvsトヨタ 頂上決戦』の#3では、独り勝ちを続けるエヌビディアの死角を探る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

ビッグテック企業が設備投資を拡大
AI半導体の勝者になったエヌビディア

「世界最大のAI(人工知能)スーパーコンピューターを構築する」――。それを標榜して、米エヌビディアのGPU(画像処理半導体)の新製品の巨額投資を表明しているのは、米アマゾン ウェブ サービス(AWS)だ。

 エヌビディアが2024年中に市場投入する最新型GPU「GB200」を2万0736基購入し、最新の液体冷却式のラックを導入する。市場の予想ではGB200の価格は6万~7万ドルとされるため、全くの単純計算で15億ドル(約2300億円)の規模になる。米巨大テック企業はエヌビディアからの1回の購入にこれだけの巨費を投じているということだ。

 生成AIの拡大と共に米巨大テック企業は設備投資を拡大させ続けている。

 米グーグルの親会社アルファベットの4~6月期の設備投資は132億ドル(約2兆円)で前年同期比9割増だ。3カ月に投じられる規模は、トヨタ自動車の年間設備投資に相当する。同様に、米マイクロソフトは1~3月期に140億ドル(約2.1兆円)を投下し、米メタ・プラットフォームズは年間350億~400億ドル(5.4兆~6.1兆円)を投じる計画だ。

 米巨大テック企業はこの設備投資の一部をAI半導体の投資に充てているが、この市場で勝者になったのがエヌビディアだ。

 競合メーカーである米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と米インテルの出遅れは鮮明になっているが、すでに両者共に対抗製品を掲げて巻き返しに打って出た。

 さらに、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、メタは自らAI半導体の開発に乗り出した。エヌビディアのGPUに対抗する動きが出てきたのだ。

 果たして、エヌビディアの独走は続くのか。次ページでは、エヌビディアの「強み」と「死角」を検証する。