アマゾン創業者のジェフ・ベゾスは「自分たちでラストワンマイルのネットワークを作るつもりか?」と尋ねられ、はっきり「ノー」と答えている。アマゾンが進めたのは、中小の宅配業者をつなぎ合わせ、1つのネットワークを作るという手法だ。ヤマトが撤退した部分の穴を埋めようという戦略である。私は、中小の宅配業者のトラックにもドライバー見習いを装って横乗りした。
※本稿は、横田増生著『潜入ルポamazon帝国』(小学館)の一部を再編集したものです。
アマゾンがつなぎ合わせた
中小宅配業者の実態とは
よくある誤解は、アマゾン自身が物流業者となりラストワンマイルを押さえる、という話である。「創業者のジェフ・ベゾスは『アマゾンはロジスティクス企業だ』と話している」とか、「アマゾンが自社でトラック配送に乗り出す」などという俗耳に入りやすいが、誤った言説が根強くある。
ベゾスは、2016年のインタビューで、「自分たちでラストワンマイルのネットワークを作るつもりか?」と尋ねられ、はっきり「ノー」と答えている。各国の既存の物流業者や郵便局に頼んでも、足りない分をアマゾンが補っているに過ぎない、とベゾス自身が説明している。
アマゾンが進めたのは、デリバリープロバイダと呼ぶ中小の宅配業者をつなぎ合わせ、1つのネットワークを作るという手法だ。ここでは、中小の宅配業者が、担当地域を決めて、ヤマトが撤退した部分の穴を埋めようという戦略である。
私は、ヤマト運輸の小谷に助手席に乗せてもらってから日を置かず、デリバリープロバイダのトラックにもドライバー見習いを装って横乗りした。17年12月下旬の年の瀬のことである。
デリバリープロバイダの配送には時間指定の荷物がないので、午前11時からスタートすると聞いていたのだが、しかしドライバーの大崎邦夫(仮名)と待ち合わせたのは8時半だった。そこから大崎が運転する軽トラックで1時間走って住宅地にあるアマゾン専用の配送センターに到着した。