ブルーインパルスを見ようと国立競技場に集まった人たちブルーインパルスを見ようと国立競技場に集まった人たち Photo:PIXTA

繰り返される緊急事態宣言
遅すぎる発令と早すぎる解除

 昨年4月7日に最初の緊急事態宣言が出されて以降、宣言の解除と再発令が繰り返されている。緊急事態宣言の期間は1回あたり2カ月程度であるが、解除からあまり時を置かずに次の宣言が出るようになっている。オリンピックが開催されている東京では、3度目の緊急事態宣言が6月20日に解除されたが、7月12日に4度目の宣言が出されるという目まぐるしさだ。

 緊急事態宣言は、本来は感染が拡大される前に予防的に発令され、感染が十分におさまってから解除されるべきものだ。しかし、新規感染者数の推移と緊急事態宣言のタイミングを検証してみると、感染がかなり拡大してから宣言が出され、感染拡大前の水準に戻らないまま解除されている。いわゆる遅すぎる発令と早すぎる解除だ。

 このように、政府が緊急事態宣言の期間をできるだけ短くしたいと考える背景には、経済と株価が大事というこだわりや、オリンピック・パラリンピックを何としても開催するという使命感があったからと想像できる。

 しかし、こうしたこだわりや使命感がコロナ対策を中途半端なものにしてしまい、新型コロナとの戦いをかえって長引かせているのではないか。