「バーニャの学校」に通う目的

 ロシアのバーニャ文化の大きな特徴の一つが、「ヴェーニク」と呼ばれるオークや白樺などの植物の枝葉を束ねたもので人の体をバシバシとたたく「ウィスキング」という行為だ。フィンランドサウナの「ヴィヒタ」といえば、サウナ好きはご存じかと思う。

植物の枝葉を束ねたヴェーニク。オークや白樺など、さまざまな種類があり、水にひたして使う。 Photo: Yuki Tokunaga植物の枝葉を束ねたヴェーニク。オークや白樺など、さまざまな種類があり、水にひたして使う Photo by Y.T.
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 ウィスキングは、ヴェーニクをしばらく水につけて柔らかくし、バーニャの温度で温まってから行う。発汗作用が促進され、とても気持ちがいいものだ。筆者も何度も体験したことがあるが、特にシラカバの葉は香りも良く、部屋全体がシラカバの香りでいっぱいになる。特に、ウィスキングが上手な人とバーニャに行くと格別な気持ちになる。

ウィスキングヴェーニクで人の体を叩くウィスキング。痛そうに見えるが、とても気持ちが良い Photo by Y.N.

 バーニャの歴史からウィスキングまで学ぶことができる学校まで存在するというから驚きだ。座学で理論をたたきこまれ、実技では手のスナップの利かせ方など、プロが手取り足取り教えてくれる。

「誰がどんなモチベーションで通うのか」と気になるところだが、生徒の声を聞いてみると友人やビジネスパートナーを家に招いて「バーニャ接待」をしたいから、という人が多い。自分の周りの人たちを喜ばせるための「おもてなし」を学びたいというのがその発想のようだ。