特定の職業をネタにしていいわけがない

 個人配信者のこのような炎上は、今に始まったことではない。この先は、これまでの炎上ケースを挙げていくが、その前に今回の炎上について、重要な指摘があったので引用したい。

「今回のユーチューバーの炎上からやや逸れるかもしれないが、セックスワーカーが『ネタ』として扱われていること自体が問題ではないか」(「『アダルトサイトで見た人や!』迷惑系ユーチューバー炎上の根底にある女性蔑視」日刊ゲンダイDIGITAL)

 街中で女性に「ポルノサイトに出てましたよね?」と声をかけ撮影する行為は、女性が戸惑う様子を面白がるためのものだ。女性とセックスワーカー、二つの属性を同時におとしめるものである。なぜ女性が対象に選ばれるのかといえば、反撃できないからだろう。そこには紛れもなく嗜虐(しぎゃく)心があることを、彼らは気づくことがあるのだろうか。

動画配信者らの差別的言動、過去にも

 東京五輪の開会式前、過去の言動を理由とした演出担当者らの辞任・解任が相次いだが、この時期にある動画配信者もイベントへの出演を見合わせていた。

 人気の動画配信者である加藤純一氏の過去の言動が差別的だと指摘されたのが、この時期だ。

 加藤氏は過去のイベントで「障害者合コン」の企画を提案して「ニュアンスがまずいけど、配合……とんでもねえバケモン生まれるんじゃねえかみたいな」と発言。この発言が取り沙汰されたことをきっかけに、黒人のゲームキャラクターに「風呂入ってねえきったねえガイジかと思った」、あるいは「女はバカなんだから役職なんか作るんじゃねえ死ねホント35過ぎたら」といった発言の問題が指摘されていた(その後、自身のチャンネルで謝罪)。

 彼だけではない。他の動画配信者らでも複数ある。数年前まで遡れば、背後から女性に声をかけて美人かそうでないかをゲームにした「振り返りブスババ抜きゲーム」(2018年)、「女性差別、して何が悪いんだって話。女なんてさ、しょせん男よりも下の人間なんだからさ」という発言(2019年)などもある。

 ちなみに冒頭で触れた「メンタリスト」のDaiGo氏も、YouTube上での発言が炎上したもので、個人配信者による不適切な言動の炎上ケースとして並べてよいだろう。