就労にあたっての要望を母国語でヒアリングする

 日本人が「外国人労働者」と聞いて思い浮かべるのは、コンビニエンスストアで働く者(留学生など)や工事現場にいる者(技能実習生など)だろう。一方、製造分野を対象にした、テクノ・サービスの外国籍の労働者派遣は、定住者・永住者・日本人配偶者といった「身分に基づく在留資格*3 」の者のみで、日本で長く働くことのできる人たちだ。彼ら彼女たちが派遣スタッフになるための登録から就業に至るフローはどういったものか?

*3 身分に基づき在留する者は、「定住者」(主に日系人)、「永住者」、「日本人の配偶者等」など。これらの在留資格は在留中の活動に制限がないため、さまざまな分野で報酬を受ける活動が可能になっている。(厚生労働省ホームページより)

伊藤  最初に、電話(専用回線)や弊社Facebookで「仕事を探しています」というメッセージをいただき、Facebookなら、そこに書かれた連絡先に弊社がコンタクトして、お話を進めていきます。フィリピンやブラジル出身の方が多く、次が中国の方。こちらからの連絡は電話が基本で、求職者個々の要望を母国語でヒアリングします。日本語を話せる求職者もいますが、細かいニュアンスやキャラクターを知るには母国語での対話が必要。そうして、ヒアリングしたことをデータベースに収め、企業側のオーダーとマッチングします。「この派遣スタッフ(派遣登録した外国人)には、この仕事が合っているのでは?」と検討して再び電話し、「こういうお仕事がありますが、いかがでしょう?」と尋ねます。「あなたの自宅から○分の時間で行けます。お給料は□円くらいで、仕事の内容は……」といったふうに、母国語で詳細を説明していくのです。そうして、派遣スタッフの内諾を得たら、「職場見学」を提案します。就業先の多くが製造現場なので、それぞれの就業場所の特徴があります。たとえば、製品や商品特有のにおいや音――職場をあらかじめ見ることはとても大切で、派遣スタッフの「ここなら働けそう」という返事をいただき、就業という流れです。

 派遣登録から就業までは、どれくらいの日数が必要なのだろう?

伊藤 最短だと、応募から二日間くらいで就業が決まりますね。なかなか就業が決まらない方もいらっしゃいますが、決まる方の平均は四、五日くらい。「今日明日から、すぐに働きたい!」という派遣スタッフが多いので、できるだけスピーディーにお仕事を紹介することを心がけています。