セブン-イレブンPhoto:Diamond

セブン-イレブン・ジャパンが北海道などで実験してきた商品の宅配サービスを、2025年度をめどに全国展開すると報じられました。ただ、現在の見通しでは、加盟店の実入りは決して大きくはなさそうです。ただでさえ不足している店舗従業員の負担も懸念され、大きなビジネスチャンスとの期待は持てません。(セブン-イレブン八王子万町店オーナー 増田敏郎)

コロナで売り上げ頭打ちのコンビニ
広がった宅配需要は取り込みたいが

「セブン、全国で宅配参入」――。日本経済新聞8月24日付朝刊1面に、大々的に掲載された記事です。

 コンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)は従来、東京都、北海道、広島県の一部の約550店で、コンビニ店頭で販売している商品を、外部の物流業者を使って客に配送する実験を重ねてきました。2025年度をめどに全国で実現すると記事にはあります。

 少なくとも私の店には、現時点で本部からの説明はありませんが、この記事の内容を基に、加盟店側のメリットとデメリットを考えてみました。

 記事には、配達の対象商品を、食品や日用品など約3000品目とし、税抜き1000円以上からの注文に対し、配送料330円を徴収するとしています。

 配達にかかる時間は最短で30分とし、受注件数は現状では1日数件ですが、全国展開後は15件以上を目指すとしています。

 加盟店側のメリットとして考えられるのは、単純に売り上げの増加が見込めることです。配達需要に応えることで、1500円の配達が1日15件あると想定します。この分の増収は、ざっと2万2500円です。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、コンビニ各社、というよりは加盟店の日販(1店の1日当たりの売上高)は頭打ちです。もっとも、過剰出店による市場の飽和でコロナ前から伸び悩んでいましたが、コロナ後は食料品の買い出し需要を取り込んだ住宅街の店舗を除いて厳しい状況です。

 コロナ禍でUber Eatsや出前館など食品の宅配サービスが一気に広がった感があります。これをコンビニ加盟店でも取り込めれば、売り上げの減少に悩む加盟店にとっては、貴重な収入源となり得るようにも思えます。

 しかし、現時点で表に出ている情報に基づいて考えると、メリットが大きいとはあまり思えません。