これに対して新幹線はほぼ直線の最短距離のルートであり、低損失で通信が可能だ。また耐震補強が完了した高架橋に沿っているため災害や事故に強く、工事などによる回線停止が少ないことも、在来線や私鉄にはない強みだ。さらに大阪や福岡のIX(インターネット相互接続点)に接続することも売りにしている。

 同社によれば、新幹線用の光ファイバーを貸し出すのはJR各社でも初めての事例だそうだ。それだけにハードルも少なくなかったという。

「新幹線は良くも悪くもセキュリティーが高い。大阪から福岡まで約600キロ。光は40キロ~80キロしか届かないので、大阪から福岡まで借りるとなれば途中10カ所くらいに増幅器が必要です。増幅器を新幹線の機器室に置くとなると、メンテナンスのために外部の作業員が立ち入ることになります」

 それはJR西日本にとって容認できるものではなかったが、それを逆手に取ったサービスを提供することにした。機器室に装置を置くスペースや電源、空調などをセットで提供するだけでなく、JR西日本光ネットワークが機器のメンテナンスまで引き受けることにしたのだ。

 だが、鉄道用光ファイバーの余分を貸し出すといっても、すぐに貸し出せる状態ではなかった。JR西日本の鉄道事業用の光ファイバーは予備率を3割程度として敷設しているため、容量の3~4割程度を貸し出し用に使うことができるそうだ。

 しかし、これまでは高月さんいわく、「ぜいたくな使い方」をしていたそうで、鉄道用と予備分がきれいに分かれていなかった。そのため、新神戸から博多まで全ての駅で光ファイバーの振り替えや整理を行い、さらに接続部も光線が弱くなるコネクタ接続から融着接続へと変更するなど、準備から含めれば1年近い時間を費やしたという。

既存回線からの切り替えや
迂回ルート確保のニーズに期待

 そうしてようやく実現にこぎ着けた情報通信事業。果たして、どのような顧客を想定しているのだろうか。

「これから探していく段階ですが、データセンター企業、大手通信事業者もしくは企業や自治体、大学など専用線を設けたいと考えているユーザーがメインになってくると思っています」