東アジアでは韓国が
医療用大麻を合法化

 タイとほぼ時を同じくして、韓国も医療用大麻を合法化した。

 2018年7月、韓国の食品医薬品安全省(MFDS)は「治療の選択肢を広げるため」として、がん、てんかん、エイズ、多発性硬化症などの患者に大麻由来の医薬品の使用を認める決定をした。そして11月に国会が大麻の医療使用を認める麻薬取締法(NCA)の改正案を可決し、翌19年3月に合法化した。

 韓国は大麻由来のてんかん治療薬「エピディオレックス」、多発性硬化症治療薬「サティベックス」、抗がん剤治療の吐き気止めやエイズの消耗症候群の治療薬「マリノール」「セサメット」などを海外から輸入し、患者に提供している。

 韓国の合法化はタイと異なり、乾燥大麻の使用を認めていない。また、使用できる医薬品も限られているため、患者の支援団体などから、「もっと幅広い使用を認めてほしい」との要望が出ているという。

 しかし、厳しい大麻禁止政策を続けてきた韓国が東アジアで初めて医療用大麻を合法化したのは「画期的」として、世界の合法大麻市場からは驚きをもって受け止められている。

フィリピンやマレーシアでも
合法化への動きが加速

 タイや韓国で起きたことは他のアジアの国々にも影響を与え、合法化に向けた動きが活発化している。

 フィリピンは2019年1月、議会下院がてんかん、多発性硬化症、関節炎などの患者に大麻使用を認める「思いやりのある医療用大麻法(CMCM)」法案を可決した。上院では否決されたものの、その後再提出され、審議は現在も継続されている。元大統領で下院議長も務めたグロリア・アロヨ氏をはじめ有力議員の多くが法案を強く支持しており、合法化される可能性は高いとみられる。