日本社会での“シニア就労”は明らかに拡大していく

「現在のあなた自身は何歳まで働くイメージか?」という設問では、50代(回答者)の28.6%、60代の32.5%が「70歳を超えて働くイメージ」を持つ結果になっている。こうした数字の高さと就労派遣スタッフ割合の年代別の伸び率*5 から、シニアの就労が確実に広がっていることがうかがい知れる。

*5 「スタッフサービスグループの就労派遣スタッフ割合の伸び率(2017年3月の就業者割合を基準値1としたときの各年比較)

野坂  今回の調査からは、「人生100年時代」にシニアの就労意欲の高まりが如実に表れていることも分かりました。「現在のあなた自身は何歳まで働くイメージか?」の前段の質問では「入社当時の定年年齢のイメージ」を聞いていますが、「70歳を超えて働く」というイメージを持っていたのは50代が7.8%、60代が2.8%という数字でした。つまり、入社当時から現在に至って、「いつまで働くか?」という就労観が変化しているのです。

 シニアは、技術職だけでなく、長年培ってきた仕事のスキルを持つ人が多く、豊富な社会人経験や人生経験も、「組織の相談役」などにはうってつけだと野坂さんは解説する。就労においては、シニアならではの「強み」を職場で生かすことが重要のようだ。

野坂 シニアの「学び直し」の意欲の高さや、「50代、60代はまだまだ若い」といった声も企業から私たちに届きます。働くことへの高いモチベーションを持ち、これまでの仕事の経験値を生かしたシニアが企業の戦力として活躍する事例はこれから増えていくでしょう。

「シニア」と言ってもその定義はさまざまですが…たとえば、当グループの50代以上の派遣スタッフの人数は右肩上がりの状況にあります。日本はもともと人手不足で、新型コロナウイルス感染症の拡大は求人減という影響もありましたが、ワクチン接種の拡大などで、一部の業種を除いて、求人は概ね回復傾向にあります。当社グループの数字においても、コロナ前の水準にほぼ戻ってきており、今後、シニア就労のいっそうの拡大が推察できます。

 そして、セカンドライフや、体力面など個々の事情を踏まえて“自由な働き方を望みながら、あらゆる就業形態で働くシニア”が増えると考えた場合、就労時間や勤務エリアなど、希望に沿ったお仕事を紹介できる「派遣」という選択肢がフィットするのではないか、と考えています。