国内の国立大学が加盟している国立大学保健管理施設協議会のメンタルヘルス委員会では、ふだんから学生の休学や退学、留年などに関する調査を継続的に行っており、本論文の上席著者である布施氏は現在、同委員会の委員長を務めている。同委員会ではCOVID-19パンデミック発生に対応し、定期調査の一部の項目を通常より前倒しで実施し、2020年度の学生の自殺率の実態を把握した。

 国内の全国立大学82校の保健管理施設に調査協力を要請し、全大学が回答した。2020年5月1日時点の学部生は43万3,032人(男子27万3,308人、女子15万9,724人)だった。2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)に、76人(男子58人、女子18人)の学生が、自殺または自殺の疑いで死亡していた。学生10万人当たりの自殺率は17.6人(男子21.2人、女子11.3人)だった。

 2012年度以降の調査結果(過去の調査の回答大学数は調査年により異なり70校前後)の推移を参照すると、男子学生は直近の6年間で2020年度の自殺率が最も高く、女子学生は直近8年間で2020年度が最も高かった。著者らはこの結果について、「パンデミック下で大学生の自殺率が上昇していることが海外から報告されているが、そのような傾向は日本も例外ではないようだ」とまとめている。

 国内の大学生の自殺が増加していることが明らかになったことから、その予防対策が喫緊の課題とされる。著者らは研究の次のステップとして、「2020年度以降に自殺または自殺の疑いで死亡した学生の背景を調査し、過去の研究と比較する必要がある。COVID-19パンデミック下で自殺リスクが上昇しやすい学生の背景因子が示されれば、ハイリスク集団の特定につながるのではないか」と述べている。(HealthDay News 2021年9月6日)

Abstract/Full Text

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pcn.13293

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