関西電力、九州電力を窮地に陥れる!自民党総裁選の最恐シナリオとは総裁選出馬の記者会見をする河野氏 Photo:JIJI

菅義偉首相が不出馬を表明した自民党総裁選を巡り、東京電力ホールディングスをはじめとする大手電力会社は、誰が「ポスト菅」になるのかと気をもんでいる。政治とエネルギー政策は切っても切れない関係にあり、次期首相の意向は大手電力の行方を大きく左右するからだ。そして大手電力にとって、なんとしても避けたい自民党総裁選の「最恐シナリオ」が存在する。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

脱原発派の河野太郎「新総裁」誕生に
戦々恐々とする大手電力

 自民党総裁選は9月17日告示、同月29日に投開票の予定だ。すでに立候補を表明しているのは岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎内閣府行政改革担当相。立候補に意欲を示しているのが野田聖子幹事長代行、石破茂元幹事長だ。

 この顔ぶれの中で、大手電力会社が「なんとしても避けたい」と祈っているのは、河野氏が自民党総裁に就くことだ。「河野さんだけは勘弁してもらいたい。日本のエネルギー政策、エネルギー業界はぼろぼろになるだろう」。ある大手電力幹部は、肝を冷やす。

 河野氏は根っからの「脱原発派」で、再生可能エネルギー推進論者。大手電力にとって天敵なのだ。

 河野氏は第2次安倍政権で外相や防衛相を務めていた時、脱原発論を封印していた。しかし、菅政権で行政改革担当相に就任してから“本性”を現し始めて、大手電力は警戒を強めていた。

 象徴的なのは、菅首相が2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言したことを踏まえ、河野氏が設置した昨年12月に「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(再エネTF)の動向だ。

 河野氏が主導する再エネTFは、エネルギー政策を所管する経済産業省にも圧力をかけて、第6次エネルギー基本計画(エネ基)に「再生可能エネルギー最優先の原則」という文言を盛り込むよう迫った。

 さらに河野氏自身は、第6次エネ基について原子力発電の新増設、リプレース(建て替え)に関する記述を削るよう、経産官僚を怒鳴り飛ばしていたことが週刊文春にも報じられている。

 河野氏が自民党総裁選に勝利して次期首相に就任した場合、政府の脱原発方針が明確になる可能性がある。

 そして、河野「新首相」が繰り出しかねないある戦術に、大手電力は戦々恐々としているのだ。いったい、どんな戦術なのか。