「電子議決権の行使を優待取得の条件としたり、優待で暗号資産やオンラインクーポンを付与したりと、電子化の進展で柔軟な提供が可能になっています」(千葉氏)

 複数の企業に共通するポイント制の導入、不動産投資型クラウドファンディングの登場など、優待自体の多様化も進んでいる。

 優待制度が大きな変化を迎えている今、どのような銘柄への投資が有効なのか。投資情報会社フィスコ情報配信部のチーフアナリスト、小林大純氏は次のようにアドバイスする。

「いかに魅力的な優待であろうと、買ってから値下がりし、優待分を差し引いて投資成績がマイナスになってしまうようでは元も子もありません。購入する前には、株価や業績の推移を確認し、長期保有を前提に株価が底堅い銘柄を選ぶのが基本です」

 “安定株主”を歓迎する企業側の事情もあり、近年は1年、3年、5年といった長期の株主に対し、優待内容をグレードアップするところが増えている。

 小林氏はさらに、コロナ禍の今ならではの選別も必要だという。

「優待の人気銘柄は内需やサービス系が中心で、良かれ悪しかれ、コロナの影響を受けています。コロナ禍で業績を伸ばした企業なら、それが“コロナ特需”による一過性のものではないか確認すべきでしょう。一方、今後の業績回復を期待して株価が安いうちにと考えるのであれば、コロナ収束まで持ちこたえられるのか財務状況を見ていく必要があります」

 優待投資歴22年という人気優待ブロガー、ともさん氏は、その時々で株価が割安と判断した優待銘柄を拾う“バリュー投資”に徹する。優待と配当の両方を重視しており、「いくら優待の内容が良くても無配企業には投資しません」と話す。

 ともさん氏は常時800銘柄程度をウォッチしており、「割安で買い、長期で保有しながら明らかに割高な水準になったら売る」ことを繰り返しているという。現在保有している銘柄数は300を超え、年2回の優待もあるため年間で500点以上の優待品を受け取っているという。毎日のように届く優待品の話題がブログを賑わせている。

 ともさん氏が読者に勧めるのは、優待ビギナーであれば地元のスーパーや、よく行く飲食店など身近な銘柄を選ぶこと。