「しょぼい行動規制緩和」でチャンスを生かせる会社と、失敗する会社の決定差Photo:PIXTA

行動規制緩和の内容が
思ったよりもしょぼいワケ

 大逆転を期待していた経営者から見れば、マージャンでいう安目上がりもいいところだというのが、今回の行動規制緩和方針だという話です。政府は9月9日、新型コロナに伴う行動規制をこの秋をめどに緩和する方針を決定しました。もうずっと長期に亘って緊急事態宣言が繰り返されてきた中で、経済活動をいつどのような形で再開するのか政策が注目されていたものです。

 公表された基本方針とは、ワクチン接種が進んでいるということを前提に、今、原則4人以内となっている飲食店の人数制限を緩和し、お酒も提供OKの方向に持っていくことや、県をまたぐ国内旅行も原則OKになるといったものです。なので、例えば大人数の宴会や野球の応援がマスク無しで大声でできる未来からは、まだまだほど遠い内容です。しかも最終案からは具体的な時期は削除され、人数についても何人ぐらいの会食はOKになるのかも現状ではよくわかりません。事前に行った実証実験も踏まえ、本格実施するかどうか判断するということです。

 背景にはワクチン接種で先行するアメリカやイギリスで行動規制を大幅に緩和したところ、逆にデルタ株がまん延してしまい再び行動規制が議論されるようになってしまったという先行例があります。ワクチン未接種の人はデルタ株感染リスクが依然として高く、2度接種を行った人も欧米の事例を見る限りでいえば有効期間が意外と短いかもしれない。そのような状況で行動規制緩和方針の内容が産業界が期待するものよりもずっとしょぼい内容になってしまったのは、仕方のないことかもしれません。