デジタル庁で、日本の「デジタルの未来」は本当に良い方向へ変わるのか?Photo:PIXTA

9月1日にデジタル庁が発足します。日本のコロナ禍からの経済回復は、アメリカや欧州と比べて大きく出遅れています。背景としてワクチン接種の遅れ以上に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進まないデジタル後進国であることが問題として指摘されています。そこからの巻き返しが期待される、デジタル戦略を推進する中枢部隊の誕生です。デジタル庁で日本はどのように変わるのか、状況をまとめてみましょう。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

9月1日にデジタル庁が発足
日本はどのように変わるのか?

 さて、デジタル庁について考える前に、この6月に噴出した平井卓也デジタル改革担当相の醜聞について触れないわけにはいきません。ごく簡単にまとめさせていただきます。

 まず、NEC恫喝(どうかつ)問題です。オリパラ向けに政府が発注したアプリの事業費削減をめぐる内閣官房IT総合戦略室の会議で、平井大臣が「NECには死んでも発注しない」「どこか象徴的に干すところをつくらないとなめられる」と発言し、さらに幹部職員にNECを「脅しておいて」と求めたことを示す平井大臣の音声が流出しました。

 背景としては、オリパラに向けて海外から来る120万人が使用する予定だったアプリの開発費73億円が、海外からの観戦客がゼロになったことで急きょ、IT事業費の削減について話し合われたもようで、恫喝があったのかどうかはうやむやですが、結果として政府はその後38億円に費用を減額したと発表しています。

 このニュースを見ると、発注した費用を後から値切る、象徴的に干す相手を作って他社の価格も抑えるというのがデジタル大臣の手法に見え、不安を感じます。