学校再開で、コロナ第5波の感染拡大が危惧されるメカニズム写真はイメージです Photo:PIXTA

東京都の7月時点の三大感染経路は
家庭・職場・学校含む「施設」

 つい先日のことでした。比較的すいている山手線で移動中、向かい合った前の座席に座っている男性がマスクを押さえながらしきりに咳をし始めました。山手線で使われるE235系車両の床の幅は2.58メートルです。つまり2mぐらいの距離での話です。

 いま流行りのデルタ株は、従来種よりも感染力が強く、飛沫の危険度もずっと高いといわれています。「これでコロナにかかったら感染経路はなんと報告すればいいんだろう?」とぼんやりと思いながら、降車した駅のトイレでとりあえずうがいをしておきました。その後、何もなかったので杞憂におわった出来事ではありました。

 デルタ株の出現で、いつどこでコロナにかかったのかがわからない人が増えています。直近の東京都の感染経路不明者の比率は約6割。自覚のないまま感染する人の方が多数なのであって、だからこそもう自分を守るのは難しいと思えてくるような状況です。

 ただ、残りのケースでは感染経路が判明しています。東京都の場合、一番多いのが家庭内、次が職場、そして7月までは学校を含む「施設」というカテゴリーが職場と同じくらいの比率を占めていました。この3つで感染経路の7~8割の説明がついていたわけです。

 つまり明確な流れとして「家族の誰かが仕事や学校に出かけ、そこで感染し、他の家族にもうつしてしまう」というパターンが感染経路の最大ケースだったのです。

 ちなみに多くの日本人が「緊急事態宣言の効果が見込めない」と考えているのはこれが理由です。緊急事態宣言の主な要請内容は、外出半減、商業施設の入場制限、飲食店の時短営業、イベントの入場制限なのですが、それらはすでに感染経路の上位ではない。一番バッシングをうけてきた飲食店は店舗側の努力と顧客側の協力で、いまでは感染経路としては5~10%程度まで小さくなってきているのです。