コロナ禍で就活し、入社する新入社員への留意点

 調査から1年以上がたち、回答した大学1年生は2年生に、4年生の多くは社会人になった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大は収まらず、今年(2021年)9月30日まで全国19の都道府県で緊急事態宣言が発令されている*4 。調査結果も示すとおり、コロナ禍で大学生の多数は大学生活への満足度が下がり、オンラインでの授業には慣れたものの、キャンパスライフを謳歌する機会が薄れ、さらにまた、就職活動の方法変化も余儀なくされている。そうした大学生たちを受け入れる企業・団体が、コロナ禍にある就活生、すでに入社した新卒社員に接するときに心がけるべきことは何だろう?

*4 内閣官房の緊急事態宣言ページ参照。2021年9月30日までの「まん延防止等重点措置」は8県。

梶谷 コロナ前とコロナ後の就活の違いのひとつに、オンラインの導入があると思います。なかには最終面接もオンライン面接だった企業もあるでしょう。このため、入社するまでPCを介した間接的なやりとりしかないため、入社後の学生・企業双方の印象は、お互いに予想したものと違うかもしれません。特に学生の側からすれば、その企業で働いているイメージが十分できないまま入社するケースも多いのではないでしょうか。入社早々、予想と現実のギャップに戸惑う学生もいると思いますので、入社後しばらくは「悩みごと・困りごと」について、コロナ前より丁寧に聞いたほうが良いかもしれません。

 また、せっかく入社しても「在宅勤務のみ」という場合も気をつけた方が良いでしょう。特にやる気のある学生は、企業の一員、そして、社会人としての活躍を夢見て入社したと思います。在宅勤務のみで自宅に籠もっている場合、「はたして、自分は社会人になったのか?」「まだ学生のままのようだ…」と、アイデンティティの危機に陥る可能性があります。在宅勤務であっても、入社した企業への所属感(仲間意識)を持たせる工夫が必要ではないでしょうか。