メンタルヘルスのことで相談に来る学生たちは…
同調査では、6割弱の学部生が「将来の就職や就職活動への不安がある」と回答している。日々、学生と接している梶谷さんは「6割弱」という数字をどう見ているのだろう?
梶谷 6割弱の学部生が将来について不安を抱くのは、コロナ禍においては、ある意味、当然かと思います。私のところに相談に来る学生のなかには、就活もまだ先の1年生・2年生もおりますが、「この先の世の中はどうなるのだろうか」「自分が就活する時期に仕事はあるのか」という不安を訴える学生が何人かいました。ある1年生の学生と面談したときに印象的だったのは、「自分は旅行業界に就職したかったけど、しばらくは厳しいと思うので、進路を変えようと思っている」と、将来の夢を諦めつつあったことです。コロナ前でしたら、こういった進路の悩みも含め、同期の学生や先輩などに相談できていたのでしょうが、コロナ禍で大学内での人間関係が希薄化し、孤独な状況に置かれた場合には、誰にも相談できず、将来の夢を諦め、失望する学生がいることが残念でなりません。
気分の落ち込み、ストレス耐性の変化、孤立感・孤独感の増大…学生には、コロナ禍以前とコロナ禍で変化が明らかにあるようだ。
梶谷 コロナ前と比較して変化を感じるのは、コロナ前の世の中ならきっと問題なく過ごしていたであろう(健全であったろう)学生が、メンタルヘルスのことで相談に来ることでしょうか。たとえば、高校時代まではスポーツなどで活発に過ごしていたり、学部時代は飲み会やカラオケが大好きだったりした学生が、コロナ禍で「ストレス発散の場」がなくなり、気を病んでしまうケースが何人かありました。コロナ前なら、辛いことがあっても、趣味やスポーツで心のモヤモヤを発散できていたのでしょうが、コロナ禍でストレス解消の手段が減るため、大学生のストレス耐性は低下しているような印象があります。