コロナ禍でも規則正しい生活を送っている学生

 昨年(2020年)に、九州大学キャンパスライフ・健康支援センター*2 は、九州大学の全学部生・大学院生を対象に、全38項目における大規模な調査「令和2年春学期 学生生活およびオンライン 授業に関する学生アンケート*3 」を実施した。現在に至るまで、さまざまな教育機関や民間企業・団体も“学生に対するコロナ関連の調査”を行っているが、九州大学の当調査はコロナ禍のかなり早い時期に行われたもので、コロナ禍以前との比較調査は「学生の変化」として注目に値する。そのなかで、梶谷さんが最も「意外」に思った回答を聞いた。

*2 九州大学キャンパスライフ・健康支援センターは、九州大学の学生・教職員に対する健康支援、心理支援、障害者支援などの業務を行う組織。
*3 「令和2年春学期 学生生活およびオンライン授業に関する学生アンケート」 調査方法〇対象:全学部学生・大学院生(留学生含む) 〇アンケート実施期間:2020年6月1日から6月9日 〇調査項目:全38項目(属性を含む) *Moodleを利用したWeb アンケート
調査結果〇総回答数:6070件(回答率:33.2%) 〇有効回答数:5888名 〇属性:学部生4328名、大学院生1560名 *比較資料:2019年度九州大学で実施された学生生活実態調査報告書

梶谷 令和2年度の調査を見て、私が意外だと思ったのは、(コロナ後でも)大学生が比較的規則正しい生活をしていることでした。たとえば、起床時間のリズムについて「守られている」「まあまあ守られている」と回答した学生の割合は、コロナ前とコロナ後では大きな違いはありませんし、朝食をしっかりとる学生の割合も、むしろコロナ後の方が増えております。また、前年度との比較はありませんが、運動については最低週1回以上していると回答した学生が全体の7割以上という結果でした。これらの結果から、コロナ禍で大変な状況でも、生活リズムをなんとか維持しようとしている姿が想像できます。

 それから、2020年6月の時点では「家族等からの援助のみでは修学困難」と回答した学生が前年度(コロナ前)とは変わらないことも「意外」と感じました。しかし、学生と面談すると、「アルバイトができなくなってお金のことが心配」という学生が少なからずおりました。コロナ禍が長引けば、経済的困窮が大学生にも及ぶ可能性が懸念されます。