――読書会の課題図書は、どのような視点で選んだのでしょうか?
柿島 例年、内定者たちに受講してもらっている通信講座のテキストも候補に挙がりましたが、そのテキストは銀行業務に関する内容がほとんどで、読書会を通じて相互理解を促すという目的には不向きだと考えました。また、一般書も、どんな本が適切かというセレクトが難しかったのと、それなりに内容のある本を短期間で一冊読み通すのは内定者に負担をかけてしまうのではないかという心配がありました。まだ学生である内定者たちは、卒論があったり、部活やアルバイトがあったりと忙しくしており、負担をかけるのは避けたかったのです。
そうした検討の結果、『フレッシャーズ・コース』を課題図書として利用することにしました。社会人として働くための基礎的な知識を学ぶことができ、インタビュー記事ではさまざまな業種・職種の人たちの話が載っています。また、テーマごとに冊子が6巻に分かれているので、1回の読書会ごとに1巻読むという無理のないペースで進められそうな点もメリットだと感じました。
写真は『フレッシャーズ・コース2022』(ダイヤモンド社)。第1~6巻の教材にはそれぞれテーマが設定されており、内定者は通常、毎月1巻ずつ(計6ヵ月分)学習していく
――銀行業務に直結する知識を習得するよりも、どちらかといえば、学生から社会人への意識転換を期待されたということでしょうか?
柿島 おっしゃる通りです。業務に関しては、入行後にしっかりと研修を行います。ですので、読書会では、先ほどお話しした相互理解とともに、社会人になるという意識を醸成していきたいと考えました。また、入行後の研修はどうしても銀行に関することに集中してしまうので、内定期間中にできるだけ、仕事に関する全般的なことや幅広い業種について触れておいてもらいたかったのです。