集まれない時代の内定者フォローの一環として、内定者向けにオンライン読書会を開催する企業が増えつつある。なぜ、オンライン読書会が、対面での懇親会や食事会に代わるコミュニケーション手段となり得るのか。どのようなメリットが見込めるのか。昨年度からオンライン読書会を企画・実施している武蔵野銀行 人事部キャリア開発室の柿島秀之氏にお話をうかがった。(フリーライター 谷山宏典)
コミュニケーションの“媒介”として本を利用する意義
――武蔵野銀行では昨年度、内定者向けにオンライン読書会を初めて実施しました。どのような経緯で開催することになったのですか?
柿島 当行ではこれまで、内定者フォローの一環として、内定者同士が交流する食事会を行っていました。ただ、昨今の内定者は、「入行までに何をしておけばいいですか?」と自ら質問してくるほど、成長意欲といいますか、「何かを学びたい」という向上心を持っている人が多い印象を受けます。そんな彼らに対して、単に「集まって、食事をして、交流する」だけではなく、もっとアカデミックなフォローができないかと以前から考えていたのです。
そうしたキャリア開発室としての課題に加え、昨年度はコロナ禍の影響で大勢で集まって食事会をすること自体ができなくなってしまった。そこで食事会の代わりに、オンライン読書会をやってみようと思ったのです。
――これまでは「懇親会という場を共有すること」や「一緒に食事をすること」が内定者同士をつなげる“媒介”の役目を果たしていましたが、コロナ禍によって内定者が集まれなくなってしまった。そこで「読書会」や「本」を通じて、お互いの考えや価値観に触れ、相互理解や仲間意識を深めてもらおうという意図があったのでしょうか?
柿島秀之 Hideyuki Kakishima
武蔵野銀行 人事部キャリア開発室所属。2009年入行、狭山支店配属、融資課で各種ローンの受付・営業推進や債権管理の事務などを担当。2011年、新座支店へ異動し、営業担当へ。担当地域の顧客を個人・法人を問わず担当。2014年、朝霞支店へ異動。専門的に法人顧客を担当する企業担当。2019年、人事部キャリア開発室へ異動。研修など行員のキャリア形成を支援する業務、インターンシップや新卒採用を担当。(写真: 大崎えりや)