コロナ禍で経営が苦しい鉄道業界で、値上げの動きが加速している。私鉄で運賃値上げの検討が先行し、JRは特急料金の値上げが始まる。その狙いは単純な利益の上積みだけではなかった。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
私鉄が先行した値上げ
JR東も特急料金に「最繁忙期」を追加
東日本旅客鉄道(JR東日本)は10月上旬、2022年4月からシーズン別指定席特急料金に「最繁忙期」を設けることを発表した。JR東日本と直通運転している北海道旅客鉄道(JR北海道)と西日本旅客鉄道(JR西日本)の連名だった。
内容は、従来の通常期、繁忙期、閑散期の料金はそのままで、さらに値段の高い最繁忙期が加わるもの。要は値上げである。
新型コロナウイルスの流行で鉄道業界は経営が苦しい。そんな中での値上げは、もともと経営状況が悪かったJR北海道などを除くと、私鉄が先行してきた。
西日本鉄道は今年3月に一部区間で運賃の値上げを実施しており、近畿日本鉄道や東急も運賃の値上げを検討中だ。
JRでは、前述のJR東日本、JR北海道、JR西日本のほか、九州旅客鉄道(JR九州)が来年4月に特急料金を値上げする。
JR九州は私鉄と同様に経営環境の悪化を受けたものだと明言している。一方でJR東日本の今回の値上げは、単純に利益の上積みを目的とした施策ではない。