廃業急増!倒産危険度ランキング#14Photo:cnythzl/gettyimages

コロナ禍で市場環境が激変した13業界について、それぞれ倒産危険度ランキングを作成した。特集『廃業急増!倒産危険度ランキング2021』(全23回)の#14では、航空・鉄道業界を取り上げる。22社が危険水域に入った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

スカイライナー、成田空港には閑古鳥が鳴く
「ビジネス需要は恒久的に戻らない」との声

 8月上旬。東京都心と成田空港を結ぶ、京成電鉄の特急「スカイライナー」に乗り込むと、車内の乗客はまばら。例年であれば家族連れなどで混雑する時期なのだが観光需要は激減。インバウンド客が日本を訪れない今、スカイライナーの需要はない。

 成田空港の出発ロビーでは、「TOKYO2020」と描かれた華々しい装飾が目を引く。しかしそんな装飾もむなしく、ターミナルには閑古鳥が鳴いていた。

「空港にいつ人は戻ってくるのだろうか」――。

 航空・鉄道業界関係者がこんな憂慮を持ち始めて1年以上が経過した。

 国際航空運送協会(IATA)は、世界の旅客需要が2023年には19年レベルを超えると予測しているものの、果たしてこの通りになるか。

 目下のところ、新型コロナウイルスのデルタ株やラムダ株などの変異株が流行するたびに、世界は振り回されている。ワクチンが広く普及したとしても、すぐさま終息するとは限らない。事態が長期化すればするほど、すでに大ダメージの航空会社の財務悪化に拍車を掛ける。

 加えて、観光需要が戻ったとしても、ビジネス需要はオンライン会議などが定着したこともあり、「恒久的に減少したまま」(業界関係者)との見方も少なくない。

 企業によっては出張費の削減だけでなく、在宅勤務を推進し、通勤定期券代の支給を廃止して、実費精算に切り替えているところも少なくない。

 この定期券代廃止が、悩みの種となっているのが鉄道会社だ。

 東日本旅客鉄道(JR東日本)では通勤客をターゲットにした施策を活発化させている。ピーク時間帯以外の利用や、同一月内に同一運賃区間10回の利用で、JR東日本のポイントを還元するサービスなどを始めた。

 とはいえ、こうした施策だけでは、定期券代支給廃止という企業側の流れに歯止めをかけることは難しいだろう。

 ダイヤモンド編集部が作成した航空・鉄道業界の倒産危険度ランキングで、“危険水域”に入った会社は22社あり、JR東日本は5位にランクインしている。

 他の21社も、誰もが名を知っている企業が並ぶ。1位になった航空・鉄道会社はどこか。ランクインした企業の顔触れを見ていこう。