ヤオコーがディスカウント業態に参入
品ぞろえ充実の一方、会計は「現金のみ」

 近年、ヤオコーはDS業態を強化する動きを見せる。17年には、神奈川拠点でディスカウント型の食品スーパーであるエイヴイ(店舗名はエイビイ)を買収したのを皮切りに、21月2月には、自社でDS業態の「フーコット」を設立している。

 埼玉県飯能市に8月オープンしたフーコットの1号店を訪れてみた。入り口付近には青果、その奥に精肉、さらに進むと鮮魚が並んでいる。白菜98円(税抜き、調査日は10月20日)に衝撃。「牛カルビふぞろい焼肉用」596グラム1007円(同)、「黒毛和牛モモ厚切り焼肉用」100グラム549円(同)とかなり安い。

 スーパーの価格は白物4点(食パン、牛乳、生卵、豆腐)から探れ――。このセオリー通り、牛乳売り場に回ってみる。牛乳は149円から10円刻みで売られ、お買い得だ。もちろん「農協牛乳」198円、「釧路・根室牛乳」199円など、売れ筋商品もそろっている。DS業態では、大概種類が絞り込まれているから、これほどの種類がそろっているフーコットは珍しいだろう。

「こんなに安くして儲かるのか」と考えていたが、22年3月には東京都昭島市に2号店の開業を予定しているという。ヤオコーにとって、“黄金地帯”だった国道16号線沿いから、フーコットの出店地域は、もう少し地価の安いエリアに移動していくのだろうか…。

 などと考えつつ店回りを続けていたが、「会計はどうなっているのか」と思いレジに回ってみた。現金のみ対応で、クレジットカードは一切使えない。レジ業務の効率化を狙ったものであろう。

「そもそも、フーコット1号店は、なぜ、こんなに安く売れるのか」――。それは、「スーパーアルプス」の居抜き物件だからだ。加えて、レジではカード払いを受け付けないし、経費率もかなり抑えている違いない。売上高に占める経費率は、通常のスーパーならば22%は下らないが、フーコットは13~14%以下であろうと推測できる。見せかけだけのローコストではなく、徹底してコストをかけていないのだ。

 ヤオコーは先述のように、エイヴイを完全子会社化している。関東圏でディスカウント型のSMを張り巡らせようとしているのか。あるいは、地域内でのシェアを上げようとしているのか――。