田中:今日だって、もしわたしの機嫌が悪かったら、イイダさんも今野さんもカメラの疋田さんもみんな気分が悪くなって、この会議室は「機嫌が悪い世界」になります。最悪ですよ。

資本主義が「不機嫌な人」を増やすしくみ書籍『会って、話すこと。』の読者から、多数感想が寄せられる項目です。

田中:でも、自分が機嫌よくしていたら、少なくとも自分の周りは「機嫌のいい世界」になるんです。わたしは今ここにしか存在できないから、わたしの世界はここにしかないんです。ここが「機嫌のいい世界」になったらそれでいいじゃないですか。

──でも、機嫌がいい人よりも、機嫌が悪い人のほうが多いような気すらします。どうして、みんなそんなふうに「機嫌よく過ごす」ことができないんでしょうか?

田中:自分のことを重要人物のように扱われたいからですよ。「俺がブスっとしてたら、みんなでせっせと肩揉んだり足つぼ押したりしろよ」ってことなんです。でも、そんなこと、してくれるわけがない。

今野:それって、駄々をこねてる小さい子どもと同じですよね。

田中:そうです。大人になってからそれを実現してくれる方法は「お金」だけです。

するとね、こういうことが起きるんです。

・機嫌が悪くなる
→誰も自分の機嫌をとってくれない
→でも金さえ持ってれば、肩揉んだり、足つぼを押してくれる
→だからもっとお金を稼ごう
→もっとお金を稼げば、もっと機嫌が悪くてもみんなが機嫌を取ってくれるようになる

資本主義って「不機嫌のスパイラル」を起こすしくみなんですよ。

──そうかもしれない。

田中:それが、自分の機嫌さえよかったら全部無料ですよ。肩を揉んでもらう必要も、足つぼ押してもらう必要もありません。だから、わたしは機嫌よくいることが大事だと思ってるんです。機嫌悪くして、コスパばっかりで生きていくなんて、苦しいだけだと思います。

第4回に続く

資本主義が「不機嫌な人」を増やすしくみ
田中泰延(たなか・ひろのぶ)
1969年大阪生まれ。早稲田大学第二文学部卒。学生時代から6000冊以上の本を乱読。1993年株式会社 電通入社。24年間コピーライター・CMプランナーとして活動。
2016年退職、「青年失業家」と称し、インターネット上で執筆活動を開始。 Webサイト「街角のクリエイティブ」に連載する映画評「田中泰延のエンタメ新党」が累計500万PV超の人気コラムになる。その他、奈良県、滋賀県、広島県、栃木県などの地方自治体と提携したPRコラム、写真メディア「SEIN」などで連載記事を執筆。映画・文学・哲学・音楽・写真など硬軟幅広いテーマの文章で読者の支持を得る。
2019年、ダイヤモンド社より初の著書『読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術』を刊行。2020年、出版社・ひろのぶと株式会社を創業。
Twitter: @hironobutnk

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資本主義が「不機嫌な人」を増やすしくみ