巨大集合住宅で張り込み
ハイリスク・ハイリターンの一手とは?

(3)対象者が巨大集合住宅に住んでいる場合

 対象者が巨大集合住宅に住んでいる場合ほど、探偵泣かせな現場はありません。出入り口や移動経路が複数あったり、駐車場が地下にあったり、オートロックのみでの出入りなど、どこから出入りをするのか全く読めない状況はもうお手上げです。

 それでも張り込みをしなければならない時は、ハイリスク・ハイリターンの一手があります。それは巨大集合住宅に潜入して、対象者宅の付近の非常階段などで張り込むのです。賢明な読者諸氏においては「不法侵入ではないか?」と思われると推察します。

 追加説明として、これは“依頼者が対象者と同居している”という条件のみに許される一手なのです。居住している依頼者から招かれている客ということで、不法侵入には当たらないのです。しかし長時間になれば、近隣住民や管理人などからのプレッシャーは尋常ではありません。これに耐えられれば探偵として一皮むけたと言ってよいと思います。

(4)張り込みから尾行へのスムーズな移行の準備

 どれだけ安全で確実に張り込みができていても、対象者をキャッチして尾行できなければ、なんの意味もありません。尾行からが調査のスタートなのです。

 私が対応する際は、基本的に2人1組で行います。依頼者の予算の関係上、大人数で張り込めることはほとんどありません。そういった限られた条件内で、尾行にスムーズに移行できる張り込み場所の選定が大事になってきます。これは一くくりに説明することが難しく、現場を重ねるしかないと思います。