「過去の失敗」に囚われず、
「未来」に思考をフォーカスする

 ちなみに、自分の頭で「ネクストステップ」を考えるように促すことには、非常に重要な付随的効果が期待できます。

 第一に、メンバーが自分の頭で考え出した「答え」=「対策」ですから、それを実行することに強いモチベーションと責任をもつことがあります。管理職から「指示」されれば、自分の頭で考える手間は省けますが、結局のところ「やらされ仕事」にしかなりません。どちらのほうが成功確率が上がるかと言えば、前者に決まっているのです。

 そして、メンバーが自信をつけて、ますます仕事に対して意欲的になる最大のきっかけになるのは「成功体験」にほかなりません。つまり、自分の頭で考えてもらうことこそが、メンバーが最速で成長する「最良の方法」だということなのです。

 また、常に「報告+ネクストステップ」を求めることには、メンタル面にもよい効果をもたらします。

 というのは、目の前の仕事が「悪い結果」に終わったとしても、「ネクストステップ」に意識をフォーカスしてもらうことができるからです。誰だって、「悪い結果」に終われば落ち込み、自分を責めるモードに入るものです。しかし、すでに終わったことについて、いくら自分を責めても何も生まれません。

 大事なのは、「なぜ、うまくいかなかったのか?」を反省したり、分析したりすることによって、その失敗を未来の成功につなげることです。「ネクストステップ」を考えてもらうことには、「目の前の失敗」に囚われるのではなく、そのような「未来思考」を身につけてもらう意味もあるのです。

 そして、こうした意識をメンバー間で共有することができれば、必ず自由闊達で前向きなチームの風土が生まれます。「ネクストステップ」は、チームビルディングの原動力にもなるのです(詳しくは『課長2.0』をご参照ください)。