温故知新で最先端の学びを校舎に取り入れる「立教女学院」(1)廊下にある黒板も昭和5(1930)年竣工時のものをそのまま利用している (2)トイレもすっかりきれいになり、歓声を上げる在校生 (3)生徒出入り口の上にはステンドグラス(1989年設置)(4)昭和5年5月16日付の銘板(5)少しずつ大きさと形が異なる普通教室 
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リフレッシュした築90年超の高校校舎

――こちらの高校校舎が本校では一番古い建物ですか。

山岸 昭和5(1930)年に講堂と一緒に竣工しました。高校の教室は、なぜかは分かりませんが、一つ一つ大きさも形も微妙に異なります。専用のバルコニーが付いている部屋もありますし(笑)。

――普通教室にもだいぶ手を加えられたとか。

山岸 最近の建物のように床下や天井に配線・配管ができるようなスペースがないため、その工事跡が目立たないようにするのに苦労しました。各教室にディスプレーとプロジェクターを設置し、Wi-Fi環境のもと、授業も快適になりました。

――新校舎を建て替える学校が多い中、古いものを生かすのは手間暇かかります。

山岸 改修にあたり、内外観の保存を原則としました。5万平方メートルのキャンパスの半分は緑で覆われています。この非日常的な世界を維持しながら、最新の学習環境を取り入れていく。雰囲気を残すことは大切です。生徒の美的感覚も養われます。

――山岸先生のご専門の理科の実験室はいかがですか。

山岸 荷物が多く引っ越しは大変で、まだ終わっていません。それでも、使い勝手がとても良くなりました。理科室にはこだわりがありまして、伝統的に実験を重視しています。化学実験室には昭和5(1930)年当時から排気用のドラフトが備えられ、ガラス器具や実験装置が最初からたくさん備えられていたとのことです。いまの物理実験室には電子黒板が2面取り付けられています。

温故知新で最先端の学びを校舎に取り入れる「立教女学院」物理や化学の理科実験室や準備室もリフレッシュ。天井高を生かして、壁面には書籍や実験器具なども収容されている
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