「男らしさ」の意識が邪魔をし、このような変わりゆく自分や抱えている不安感、悩み事などを他人に相談できない男性も多いそう。ミドル世代の男性はまず、このような「男らしさ」と自分自身を切り離すことが、メンタルの安定には重要だ。

「『なぜ弱みを見せてはいけないのか』ということを考えると、『こうあるべき』という自分の中のルール、ある種の呪縛があることがわかります。その呪縛は社会的に強いられてきたり、幼少期からの刷り込みだったりする場合が多いです。まずは、無意識に『男らしさ』を強要されていたという認識を持ち、それに適応してきた自分をいたわる気持ちを持つことが必要。悩みを吐露することは人として当たり前ですし、メンタルケアも決してカッコ悪いものではないのです」

世間の理想像と
個人の理想像を分ける

「こうあるべき」という理想に悩むのは特定の世代に限ったことではない。しかし、ミドル世代になると「理想の上司」「理想の父親」など責任とリーダーシップが求められるようになる。この理想像と現実の乖離(かいり)に悩む人も多いだろう。

「理想との乖離に悩む人は、自分の中の理想と世間一般の理想を分離しましょう。『男らしさ』と同様、多くの理想像はメディアや世間などによって社会的に形成されたものであり、自分の中に無意識に内面化されています。画一的な理想像を目指さなくても、自分の性格を加味して現実的な目標を立てればいいのです」

 例えば、控えめでサポートが得意な人物が、一般的にイメージされるような一家をぐいぐい引っ張る父親になるのは難しいし、本人にとっても負担だ。ただ、リードはできないけど、自らのサポート体質を子供に伝えることはできる。

 このように、リーダーシップを発揮する父親ではなく、弱い立場に寄り添うことを教えられる父親を理想とすれば、乖離に悩む度合いも少なくなるという。

 ミドル世代の中には、同僚や部下の優秀さや、「成功」している同級生たちとの差に悩み、嫉妬する人もいるだろう。そのときのメンタルケア法はあるのだろうか。