二つ目は仕事以外の人たちと「緩いつながり」を持つことだ。年を重ねるにつれ、新しい人間関係はできにくく、また職場など特定のコミュニティーで固定化しやすい。そうなると、思考や価値観に多様性がなくなり、硬直化してしまうのだ。

「仕事以外のいろいろな人たちと接すると、『こんな人もいて、こんな考え方もあるのか』と思えます。それは、自分の中にある多様な声を拾い上げる行為でもあり、精神の柔軟性を獲得できます」

 その結果、会社や属している社会の価値基準とは異なる思考を認識できるため、自分の人生をそれまでとは別の価値観で捉えられるようになるのだ。

「三つ目は若い人と交流すること。次世代に何かを継がせたいと思うことは人間の本能です。下の世代との交流を通し、身につけた経験やアイデアを伝えることで自分の存在意義を再定義できますし、自信にもつながります。ただ、やり方を間違えると嫌われてしまいますので、教えると同時に若者からも『何かを教わる』という姿勢を持ちましょう」

 現代では「メンタルの弱さ=自己責任、努力不足」と断定される風潮があるのも事実である。

「メンタルの不調、弱みや悩みがあるのは決して、本人の努力不足ではありません」

 メンタルケアはダサくない。積極的に自分をいたわろう。