「大幅に売り上げダウンだったが、仕入れ先に少しでも貢献したかった」

 酒を出さずに営業していた居酒屋の店主はこう語る。緊急事態宣言解除後、酒類の提供を再開したものの、客足は思っていたほど戻っていないようだ。

「宣言解除後は、酒を飲まない新たな客層が増えたが、今までの上顧客は来なくなった」

 かつての常連たちについて、店主は「緊急事態宣言中、外出せず宅飲みをするようになった人もいるのだろうが、あの人たちは酒場の雰囲気が好きなので、酒類を出す店に流れたのではないか」と分析する。店主は、今後の状況をこう悲観する。

「売り上げは7割程度まで戻ったが、コロナ前の水準まで回復することはないだろう」

コロナ禍でも酒類を提供した店は
「激混み状態」

 緊急事態宣言下でもアルコール類を提供していたお店は、激混み状態だったようだ。「繁華街では家賃が高く、従業員が多いと協力金ではまかないきれない」というのが要請に従わない理由のようだ。

 酒類を提供した店のなかには、過去最高の売り上げをたたき出したところもあると聞く。一時は、店の外に行列ができていて、席が空くのを待っていたという。

 コロナ前は、店が混んでいれば違う店へ行ったのだろうが、周囲に営業している店が少ないから並ばざるを得なかったのだろう。平時では見かけることのない、コロナ下ならではの光景といえるだろう。