現在流通している日本円の最小単位である1円硬貨。近年はキャッシュレス決済や各種ポイントサービスの普及によって、使用される機会は減ってきている。ところが、コイン投資市場では、過去に使用されていた日本の1円硬貨の価値が急騰しており、投資家たちからかつてないほど熱い視線を浴びているという。どんな1円玉が人気なのか、また、なぜ今、価格が急騰しているのかなどについて、コイン投資に詳しい、ファイナンシャルプランナーの田中徹郎氏に解説してもらった。(清談社 山田剛志)
アンティークコインが
投資商品として大人気
コロナ禍以降、キャッシュレス化が急激に進んだことで、硬貨自体が存在感を失いつつある。特に1円玉は、2021年度の製造分はすべてコレクション向けの「貨幣セット」用で、新規製造は実質ストップしている状況だ。
ところが昨今、発行されて100年以上たつアンティークコインへの注目度は日増しに高まっているという。種類が豊富で管理がしやすく、初心者でも扱いやすいことから、不動産や金に代わる、新たな投資対象として人気を集めているのだ。
「実物資産の代表選手といえば不動産ですが、運用に手間がかかるのがネックです。専門的な知識を有していないとだまされて損をするといったイメージを持っている人も少なくありません。そういう人は金投資に目を向ける傾向があるのですが、現在、金は1kgおよそ700万円が相場。たとえば4000万円分を保有する場合、5kg以上の金を自宅で保管するわけですから、そのためには大きな金庫が必要になり、相応のコストとスペースを割くことになります」(田中氏、以下同)
かたや、アンティークコインの場合、メンテナンスコストはほとんどかからず、また、サイズが小さいため保管場所の確保にもそれほど苦労しない。さらに、簡単に持ち運べるので、災害時でも安心だ。