相続税の徴収決定済額
トップは東京都

 相続税には「税の再分配」のほかに、もうひとつ役目がある。それは、「所得還元」だ。「所得還元」とは、本来、被相続人が払うべきだった所得税の代わりに、財産を引き継いだ相続人が相続税として支払うというものだ。

 相続人にしてみれば、降って湧いたような課税なので、割り切れない気持ちもあるかもしれない。しかし、相続財産は不労所得の一種。働かずに得た財産の一部を税金として納め、社会に還元されるのは致し方なしと考えるべきだろう。

 とはいえ、納税額は抑えられるなら抑えるに越したことはない。節税対策ができるならしたほうが良いし、むろん、相続税の払い過ぎはしないほうが良い。そして、税務調査対策もしたほうが良い。万が一、税務調査で申告漏れなどが見つかれば、多額の追徴課税を伴ってしまう。

 なお、国税庁は毎年、国税徴収状況をホームページで公表している。『令和2年度 国税徴収 (3)都道府県別の徴収状況』によると、相続税の徴収決定済額(納税義務の確定した国税のうち徴収決定した額)トップ10、収納未済額(期間内に納入されなかった額)トップ10は以下の通り。

●相続税の徴収決定済額・都道府県別トップ10
1位:東京都(7634億5200万円)
2位:神奈川県(2384億1400万円)
3位:愛知県(2070億890万円)
4位:大阪府(1873億3700万円)
5位:埼玉県(1575億3500万円)
6位:兵庫県(1098億9200万円)
7位:千葉県(989億6300万円)
8位:京都府(589億700万円)
9位:静岡県(582億9000万円)
10位:福岡県(516億9400万円)

●相続税の収納未済額・都道府県別トップ10
1位:東京都(649億5000万円)
2位:神奈川県(130億250万円)
3位:愛知県(102億7400万円)
4位:大阪府(95億8100万円)
5位:埼玉県(76億300万円)
6位:千葉県(71億6800万円)
7位:兵庫県(41億6500万円)
8位:北海道(28億2700万円)
9位:鹿児島県(26億6600万円)
10位:広島県(25億9900万円)

 相続税は控除や特例の適用条件が複雑で、特に遺産に不動産が含まれる場合は専門知識を要することもある。相続税の税務調査は自分で申告した人が対象になりやすい。税務署には相談窓口があり、専門士業も最初の問い合わせは無料の事務所も多い。期日を過ぎるよりは早めのご相談を。