「元・日本一有名なニート」としてテレビやネットで話題となった、pha氏。
「一般的な生き方のレールから外れて、独自のやり方で生きてこれたのは、本を読むのが好きだったからだ」と語り、約100冊の独特な読書体験をまとめた著書『人生の土台となる読書』を上梓した。
本書では、「挫折した話こそ教科書になる」「本は自分と意見の違う人間がいる意味を教えてくれる」など、人生を支える「土台」になるような本の読み方を、30個の「本の効用」と共に紹介する。

「成功した人の本」より「失敗した人の本」を読む方が人生の参考になるワケPhoto: Adobe Stock

自分と同じ「ダメさ」を持った人

 成功した人の話を読むと、爽快でスカッとする。

 だけど、自分もマネをして同じようにやってみようとしても、そんなに簡単にうまくはいかない。

 たいていの人は、天才ではないし、すごい人間でもない。ダメな部分を抱えて、悩んだり失敗したりしているのが大多数の人間だ。

 だから、本当に人生の参考になるのは、成功した人のことを書いた本ではなくて、たくさん失敗をしたことのある「ダメ人間」について書いた本だと思うのだ。

知らない世界があった

 どんなふうに生きていけばいいかわからなかった10代の頃、僕に大きな影響を与えたダメ人間は、中島らもだった。

 その頃の僕は、学校にうまく馴染めないでいた。

 みんなと同じように集団行動をすることがどうしても苦手だったし、みんなが興味を持っているものにまったく興味を持てなかった。

 なんでこんなつまらない場所に毎日通わないといけないんだろう、と思っていた。

 人生の参考になるような人は、周りに誰もいなかった。学校のクラスメイトも、親も教師も、誰とも話が通じなかった。

 周りに合わせることができない自分は、この社会の中では少数派なのだと思ったけれど、そんな自分に向いている生き方というのは何なのかもまったくわからなくて、ずっと人生に迷っていた。

 中島らもの本に出会ったのはそんなときだった。そこには僕の知らない世界があった。