厚生労働省が試算した雇用調整助成金等による
完全失業率抑制効果
コロナ禍で雇用を維持するための手段として雇用調整助成金が広く用いられている。従業員を休業させて雇用維持した場合にかかる人件費を雇用保険会計から補填する制度である。厚生労働省の職業安定分科会雇用保険部会(第155回)資料2によれば、2020年度の支出総額は3兆1555億円に上る。
雇用調整助成金の雇用維持効果について、労働経済白書は完全失業率を2.1%ポイント減少させる効果があったとしている。20年4~10月の完全失業率平均は2.9%であったため、仮に雇用調整助成金がなければ同時期の完全失業率は5.0%まで上がっていただろうという試算である。